2019年10月26日

ふるさと再訪~河岸段丘の町・飯田その3

飯田ゆかりの文人たち
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 これも宿のすぐ近くにある、日夏耿之介記念館(写真中央)と、柳田國男館(写真左)。これらの右手のほうには、飯田市美術博物館もあります。
 残念ながら今回は、いずれも中を覗けませんでした。

 日夏耿之介(1890年~1971年)は、飯田市出身の文学者。神秘主義的な象徴派詩人であり、大正期の幻想文学興隆に寄与した英文学者―とくれば、私の嗜好に引っかかる作品があるはずですが・・・
 飯田出身というのは早くから知っていて、同郷のよしみとばかりに、父親の持っていた日本文学全集で、その作品に当たってみたことがあります。
 しかし中学生の読解力では、その高尚で韜晦的な雅文体には、とても歯が立ちませんでした。
 そんな苦い思い出があります。

 柳田國男(1875年~1962年)は、言わずと知れた日本民俗学の創始者にして開拓者です。
 現・兵庫県神崎郡福崎町に、松岡家の六男として生まれましたが、二十代半ばに旧・飯田藩士であった柳田直平の養嗣子となって柳田姓となり、その後に柳田家の娘を妻に迎えたことから、飯田との関わりができたようです。
 私はそんなに柳田國男の著作を読んでいるわけではありませんが、「海上の道」や「遠野物語」などは、いつか読み返してみたいですね。

 飯田市美術博物館は、明治時代に活躍した飯田出身の日本画家・菱田春草(1874年~1911年)の作品を多く収蔵しています。
 もともとこの敷地は飯田長姫高校(現・飯田OIDE長姫高校)があった所で、私の親戚には幾人もこの学校の卒業生がいます。小さい頃、この高校の文化祭に連れていかれ、温かいぜんざいを食べたことなど、うっすらと覚えています。
菱田春草「菊慈童」.jpg

 上は、中国・周の時代の故事で、菊の霊力により不老不死を得た童子を画題にした、菱田春草25歳のときの作品「菊慈童」(飯田市立美術博物館蔵)。
 輪郭線を用いない「朦朧体」の典型―とのこと。
 
 飯田出身の有名人といえば、江戸時代中期の儒学者・太宰春台(1680年~1747年)もいますね。父親が飯田藩士でした。長野県歌「信濃の国」の歌詞に登場します。
 江戸時代前期に起こった経世論―政治とはつまるところ経世済民(世を経め、民を済う=よをおさめ、たみをすくう)のことだ、という思想―を深め、経世済民をつづめた「経済」の語を創出した人です。(春台の説く「経済」は、economyの訳語にあてられた「経済」よりも、政治学や社会学などに及ぶ広範な概念のようです)

飯田城の遺構
 市街地に向けてまっすぐ伸びる表通りを辿りかけ、気まぐれに横道に逸れてみました。
河岸段丘の町.jpg

 いくつもの階段を伝って段丘崖を下ることになりましたが、この急勾配の通路は、上に城郭があった時代の名残でしょうか。

 車道に出たのでそれを伝って上ると、元の表通りに出ます。
 その途中の石垣の上に見えてくるのが樹齢400年、飯田城桜丸御殿址のヒガンザクラ。
夫婦桜.jpg
 
 ヒガンザクラとありますが、実はエドヒガンと枝垂桜とが合体して、一本の樹木に見えるのだそうです。「夫婦桜」という直截な呼び名が付いています。

 同じ敷地内にあるのが、飯田城の数少ない遺構のひとつ、桜丸御門―通称赤門です。
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 道筋からはやや奥まった、合同庁舎と市立図書館に挟まれた位置に建っているので、表通りをそのまま歩いていれば、見過ごしたかも知れません。
 建築当時と同じ場所に遺されているとのこと。

追手町小学校
 桜丸御門の、表通りを挟んだ向かい側に目をやると―
飯田市立追手町小学校.jpg

 明治5年(1872年)、旧・飯田藩の文武所を改修して開校されたのが現・飯田市立追手町小学校。
 昭和4年に落成した鉄筋コンクリート建ての校舎(写真上左右)と、昭和6年に落成した講堂兼体操場(写真右下)は、現在も使用中ですが、いずれも登録有形文化財となっているとのこと。(このときは補修工事中で、特徴のある丸みを帯びた外観は見られませんでした)

 小学校の百葉箱の標識に、標高488mとあります。思ったよりも高地にあるわけではないなと、少し意外でした。

 ちなみに日本でいちばん標高の高い市(市役所のある地点)は、同じ長野県の茅野市で、801mとのこと。八ヶ岳の麓です。
 茅野には今年の正月に立ち寄る機会があり、そのとき知った豆知識。
 蓼科にスキーに行ったついででしたが、諏訪大社に初詣し、尖石縄文考古館で「縄文のビーナス」と「仮面の女神」を見てきました。

 ついでながら翌日向かうことになる大平宿の標高は1,150m。

posted by Pendako at 23:52| Comment(0) | 郷土・ふるさと | 更新情報をチェックする
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