2017年11月19日

ふるさと探訪~姫街道と南大通り(後篇)

 姫街道から南大通りに折れて、名鉄豊川線諏訪町駅までの約500mの沿道には、小中学生の頃行きつけだった本屋や、特別な日に家族で食事した中華飯店などがあったのですが、今はもうありません。


諏訪町駅.jpg

 これが諏訪町駅。券売所とホームがあるだけの無人駅。

 豊川海軍工廠の工員輸送のため、1945年1月に名古屋鉄道本線の国府(こう)駅から豊川市内線がここまで敷設され、「市役所前」の駅名で開業した駅です。
 豊川市内線は戦後さらに東に延長され、飯田線豊川駅に隣接する豊川稲荷駅に繋がりました。これが現在の名鉄豊川線です。


諏訪町駅近辺.jpg

 この写真は諏訪町駅近くの風景。

 右側の建物に「東海珠算豊川学園」の文字が見えます。
 小学生の頃、そろばんを習っていました。たぶんここ(当時は木造の建物)に通っていたのだと思います。この頃は、学習塾よりもそろばん塾や書道塾に通う生徒のほうが多かったと思います。

 そのお向かいに「本」の看板。
 これもたぶんですが、私が初めて出会った古本屋さん。今は看板だけで、営業はしていないようです。

 私より1学年下の女の子が、いつも店番をしていました。ですから、とても入りづらかった記憶があります。
 意を決して入ったものの、お目当ての本を探すというより、教養書なんぞを手に取って、さも興味ありげに立ち読みするだけだったような気が…。
 何しろその子は頭が良くて器量が良くて、生徒会の役員をやるほどの優等生だったもので。
(私はまったく知らなかったのですが、つい最近、この方と意外な接点のあることが判明し、吃驚しました)

 その南側に小学校の敷地、私の母校です。校門は南大通りからちょっと奥まったところにあります。

 何とはなしに、小学校の周囲を一周しました。

中部小学校.jpg

 ここから見える校舎の2階右端に、在校時足繁く通った図書室があったはずです。(だいぶ昔の記事「最初の一冊はこれ、アイリッシュの「恐怖の黒いカーテン」 あかね書房『少年少女世界推理文学全集』=その2」参照)
 今はどんな本が並べられているのでしょうか。

 ちなみにここは、海軍工廠の工員宿舎(第九男子寄宿舎)の敷地を小学校に転用したものです。

 小学校の南側に、佐奈川が流れています。

佐奈川.jpg

 南大通りの橋上から撮った風景。
 当時の佐奈川は、このあたりの方言で「どぎたない」川でしたが、現在ではこのとおり。土手の上に立ち並ぶのはソメイヨシノです。

 春になるとこんな感じ。(撮影ポイントは上の写真から上流500mほどあたり)
佐奈川桜並木02.jpg


 この桜並木は、佐奈川の両岸約8㎞に亘って続いています。
 市役所近くの通称桜トンネルと並び、桜の名所になっているのですが、実はこれらも海軍工廠と深い関係があります。

 1939年の開廠記念に、工廠正門前に欅の植樹が行われ(記事の冒頭に挙げた写真)、その延長として桜並木が市中に伸ばされていった…とのことです。

 したがって植樹されてから、古いものは80年近く経過しており、そろそろ寿命かなとも思います。(実際、幹に大きなうろのある木が何本もあって、立ち枯れしそうな状況です)
 この美しい景観を、後世に残す取り組みはされているのでしょうか?

 南大通りをさらに南へ。

 今度は私の通っていた中学校。ここもやはり、海軍工廠の工員宿舎(第七男子寄宿舎)の跡地を利用しています。
南部中学校.jpg


 当時は木造の校舎でした。私はあまり出来の良い生徒ではなかったので、苦い思い出のほうが多いですね。

 ここからさらに1㎞ほど南に歩くと飯田線牛久保駅あたりに出て、夏休みに肝試しをやった熊野神社や、「風林火山」で有名な隻眼の軍師・山本勘助の墓など、再訪したい場所がいくつかあったのですが、すでに時刻は午後1時、家をでて3時間余り過ぎていました。

 またの機会に訪れようと決め、佐奈川の土手べりまで引き返し、川沿いに実家のほうへ戻ることにしました。
名鉄豊川線.jpg


 散歩のつもりが戦争の痕跡をめぐる、ちょっとした探訪となりました。ともあれ3時間余りの散策の記録を、一ヶ月かけてようやく完結。

 実は豊川海軍工廠にちなんだ話題としては、まだいくつかあります。

 秋吉久美子さんが初主演した映画「十六歳の戦争」(松本俊夫・監督 1976年公開)のこと。

 まだ空襲の惨禍のあとも生々しく残る工廠跡地でロケをおこなった映画「悪い奴ほどよく眠る」(黒澤明・監督 主演・三船敏郎 1960年公開)のこと。
悪い奴ほどよく眠る・ロケ地(豊川海軍工廠跡地).jpg
 
   
※映画「悪い奴ほどよく眠る」ロケ地・豊川海軍工廠跡


 父の書棚にあった書籍「ああ豊川女子挺身隊―8.7豊川海軍工廠の悲劇」(辻豊次・編著 甲陽書房 1963年)、「嗚呼豊川海軍工廠―被爆四十周年」(粟生博・編著 自費出版?1985年)のこと。

 これらについては別の機会に記すことにして、次回はまた本や映画の話題に戻ろうかと考えています。

posted by Pendako at 14:00| Comment(0) | 郷土・ふるさと | 更新情報をチェックする
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