2017年04月17日

「少年少女世界推理文学全集」再説~コンプリートへの道のり

 このブログをスタートした最初期に、小学校時代の読書体験を通じて特に思い入れの深い、あかね書房『少年少女世界推理文学全集』について、何回かに亘って取り上げました。

 手持ちの現物何冊かと、数十年前の記憶とをたよりにした、大雑把な感想文めいた内容でした。

 これで一区切りつけたつもりでしたが、それ以降、未入手だった残りの巻が徐々に手元に集まって・・・

 昨年のいま時分でしたか、第12巻「クロフツ マギル卿さいごの旅/チェーン・ミステリー」を入手し、晴れて20巻すべてが揃うことになりました。

世界推理文学 函背1.jpg


 せっかくだからと、あらためてこの児童全集について書いてみようという気分になった次第です。

 思い起こせば20年ほど昔、今のすまいに引っ越したばかりの頃、最寄駅近くでオープンしたての古書店を見つけ、ふらっと入ったときのことです。

 外観から新古書店のような構えだったので特に期待もしていなかったのですが、入口に近い児童書の並ぶ棚に、『少年少女世界推理文学全集』の1冊を見つけたのです。

   第13巻「ヴァン・ダイン エジプト王ののろい/スコッチ・テリアのなぞ」 

 懐かしいなぁ~と手に取って、そのままレジに向かいました。
 確か800円だったと思います。

 それまで古書店では目にしたことがなかったので、ちょっと驚いたことを覚えています。

 ただしその時点では、これをきっかけに全集をコンプリートしようなどとは思い至らず、しばらくその第13巻は他の雑本に紛れたままでした。

 動き始めたのは、それから5~6年後のことです。
 渋谷パルコ・パート1の地階。

 当時会社帰りに、ここにあったリブロや洋書専門のロゴスを覗いては、新刊書や輸入物の画集などを物色することがたまにありました。

 その日は同じフロアの特設コーナーで、期間限定の古書販売を行っていたのです。

 さほど広くないスペースをひととおり見て回り、これといってめぼしい本もなかったのでそこを離れようとしたときのこと。
 陳列台の下に、品出し前の本が詰まったとおぼしきダンボール箱があることに気づきました。

 マナー違反かなと考えながら、屈みこんでその箱をちょっと開けてみると、児童書の類がたくさん詰まっていました。

 その中に見つけてしまったんですね。

  第2巻「コナン・ドイル シャーロック・ホームズの冒険」

 ちゃんと値札が付いていたので、しれっとそれを掴み、レジに向かいました。

 値段は確か700円。
 もちろん会計のとき店員さんには、下の箱から取り出したことは告げましたよ。

 この全集、かなり希少で古書店に出回ったとしても高額な値がつく、といった情報はすでに知っていたので、「超ラッキー!」と思ったものです。

 ただこの本、箱にも本体にも前の持ち主の名前(女性名)がボールペンでしっかり記入されていました。

 ここでちょっと脇道にそれますが。

 私は古書を購入する場合、美本とかにはあまりこだわりません。「薄汚れた」本でなければ、OKという立場です。

 その本の来歴や持ち主の為人を窺わせるような痕跡が残っている本に、かえって愛着を覚えたりします。

 署名入りの謹呈本。
 貸出カードのポケットが貼りつけられた図書館の除籍本。
 何ヶ所も補修の跡がある本。

 厳めしい文字体の蔵書印を、奥付の上にドンと押した本。
 購入日や読了日を書きつけた本。
 本文のいたるところに赤ペンの書き込みがある本。
 後ろの広告頁で既刊書リストに〇や✔を付けた本。
 見開きに読書感想文を開陳した本。

 喫茶店のスタンプカードやクリーニング屋の領収書を栞代わりにした本。
 映画館の年代物のチラシを挟み込んだ本。
 残念ながらお札の挟まった古書に遭遇したためしはないですが。

 閑話休題―

 そんなわけで、元の持ち主はミステリ好きの賢げな女子・・・という勝手な思い込みと一緒に、○○子さんの大事にしていたシャーロック・ホームズは、バンダイン(ヴァン・ダイン)の隣に並ぶことになりました。

 さらに同じ年の夏だったと思います。

 実家から徒歩5分ぐらいのところに古書店ができて、帰省するたびに立ち寄るのを常としていました。

 郷土史関係の書籍や、1980年代、90年代のコミックスがわりと充実していて、本の回転が早いのか、系列の書店と入替えを行っているのか、行くたびに新発見があったのでわりと楽しみにしていました。

 その時も明確な探求書があったわけではなく、ふらっと入ったわけです。

 入口をくぐった瞬間、不思議な感覚を味わいました。

 正面奥のやや左の児童書の棚から、2冊の本の背表紙が私の目にパッと飛び込んできた・・・という感覚。

 実際のところ、いつもどおり順繰りに棚を見て回るうちに、ふと目に留まった・・・というだけのことだったのかも知れませんが、このときの遭遇体験があまりに強烈で、「向こうからこちらに接近してきた」という不思議な印象だけが残っています。

 棚に近づくと、

  第7巻「クリスティ ABC怪事件/恐怖の旅客機」
  第10巻「ヒルトン 学園の名探偵/モーム スパイの秘密」

 この2冊でした。

 値段は前より少々お高くそれぞれ1,500円ぐらいでしたか、もちろん即決で購入。

 しあわせな気分で店を出たのですが、待てよ、と考えました。

 もしかしたらあの棚には、他の巻も並べられていたのではないか、私が入手したのは最後に残った2冊ではなかったのか、もう少し早いタイミングで帰省していれば、他の巻も手にすることができたのではないか・・・

 などと悔やむ気持ちにもやもやしながら、来た道を戻った覚えがあります。

 ひょっとしたら書店が出し惜しみしていて、バックヤードでは他の巻が出番を待っていたのかも知れない、などと考えて次の日に行ってみたりもしました。

 この時に、全集のコンプリートを意識したのかも知れません。

世界推理文学 函背2.jpg


(次回に続く)
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