2016年02月08日

江戸川乱歩 生誕120年・歿後50年をふりかえる

 1975年に刊行された『幻影城増刊 江戸川乱歩の世界』を取り上げようと思っていたのですが、その前に・・・

 2014年が生誕120年、2015年が没後50年ということで、このところ江戸川乱歩の関連本やコミックスの出版、作品の映像化、ドキュメンタリー番組の放映などが行われ、それなりの盛り上がりを見せました。

 そうした動向のなかでも、とくに乱歩研究本(乱歩の特集を組んだ雑誌も含む)について、少し言及してみたいと思います。(いくつかは私も読んでおり、その読後感などの記憶が薄れないうちに記録しておいたほうが良いかな、と考えてのこと。)
 
 まず、主だったものを次に挙げ、簡単なコメントを付記します。

1.『江戸川乱歩の「少年探偵団」大研究 上巻 』(ポプラ社 2014年3月)監修:平井憲太郎
  『江戸川乱歩の「少年探偵団」大研究 下巻 』(ポプラ社 2014年3月)監修:平井憲太郎

「少年探偵団」大研究.jpg


 生誕120年の劈頭を飾るにふさわしい大著!!
 ・・・との思い込みから、AMAZONで見つけ即座に1-Clickした、上・下巻本の2冊です。

 装幀・造本は立派でしたが、内容は、実にビミョーでした。
 
 ポプラ社の『少年探偵団』シリーズを読み始めた年少の読者であれば、そこそこ面白いのかもしれません。しかしこの内容で、小・中学生に2冊7,560円出させるのはどうも。
 少なくとも、下巻(既刊のポプラ社版から漏れていた「少年探偵団」ものの拾遺)は不要です。

 ムック仕様にして1,000円前後でなら、あるいは納得できるかも、です。(それだと以前出ていた『別冊宝島 僕たちの好きな怪人二十面相』になってしまうけど)

 高価な書物を購入する際は、やはり書店で中身を吟味してからにしましょう。

2.『江戸川乱歩の迷宮世界』(洋泉社 2014年6月)

 乱歩入門編としてはコンパクトにまとまっていると思います。
 中絶作品や合作を除いて、ほぼ全作品についてあらすじや解説を付し、作家としての乱歩の業績を要領よく俯瞰できる構成です。

 乱歩作品を読み解くうえで欠かせないキーワード―変身願望、人形愛、レンズ嗜好、美少年趣味、等々―についても、ひととおり解説されています。(作中頻繁に出てくる「入浴シーン」に着目しているのが、新鮮でした。私も乱歩作品を読んできて、お風呂場の描写にモヤモヤした覚えがあるので・・・。もう少し深い考察を望みたいです。)

江戸川乱歩の迷宮世界.jpg


 物足りないのは、評論や随筆の分野での業績に、たった数頁触れているだけ、ということです。
 ある意味で、ミステリー好きを小説以上に感化してきたのは、『悪人志願』『鬼の言葉』『幻影城』『続・幻影城』『探偵小説四十年』といった書物だったと思います。
 マニアに限らず、一般の読者にも広く読んでほしい著作です。
 特に『幻影城』『続・幻影城』などは「血沸き肉躍る」評論集でありますよ。

3.『ミステリマガジン 2014年8月号』(早川書房 2014年6月)※特集「幻想と怪奇 乱歩生誕120周年」
  『ミステリマガジン 2015年9月号』(早川書房 2015年7月)※特集「幻想と怪奇 乱歩輪舞ふたたび」

 『ミステリマガジン』の長い歴史の中で、日本の作家を単独で特集に取り上げるのは初めてのことじゃないでしょうか?
 なぜかこの2冊、乱歩特集に心惹かれながらも買いそびれてしまいました。
 
 これ以上私に書く資格はありませんので次の書籍に移ります。

(次回に続く)


posted by Pendako at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 江戸川乱歩 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック
タグクラウド