2018年11月05日

120字の映画館No.01~東宝特撮映画その1 「世界大戦争」

 監督:松林宗恵 特技監督:円谷英二 製作:東宝 1961年
 出演:フランキー堺、音羽信子、宝田明、星由里子

二大陣営が対峙する冷戦下、ひとつの事件を端緒に事故や小競り合いが連鎖し、一触即発の局面へと。父と娘、娘と恋人―小市民の家族風景と対比させながら、核戦争の恐怖を炙りだす。人々の努力むなしく、やがて核は世界中の都市の上空へ・・・ラストの凄絶なカタストロフィー!


世界大戦争パンフレット.jpg


 6歳の頃に父と見たトラウマ映画です。怖くて怖くて、眼を開けてられなかった思い出が。ミニチュアによる特撮―という知識はまだなかったので、現実の出来事として観てました。えらいこっちゃ・・・と。
 東西陣営の冷戦などという世界情勢や、核兵器の脅威などは知らなかったはずですが、この映画が漠然とそんな現実を認識させてくれたように思います。
 アメリカとかソ連とか中共とかが盛んに水爆実験を繰り返していた頃でもあり、誰かに「水爆4発落とされたら、日本は全滅だよ」と説明されたことがあって、絶望的な気分になった覚えもあります。
 あと、水爆実験のあとは雨に放射能が混ざるから「それに濡れると頭が禿げる」とか盛んに言われていました。私はわりと無頓着でしたが、最近になってその影響が出始めたのかもしれません。
 映画のラスト近く、星由里子さんが遠洋上の恋人とモールス信号で交わす最後の会話で、ぐっと胸が締め付けられましたね。家族のささやかな幸せは、つまるところ平和な世界あってこそ、です。

posted by Pendako at 20:43| Comment(0) | 120字の映画館 | 更新情報をチェックする

2018年11月04日

120字の読み物世界No.01~山田風太郎その1 「妖異金瓶梅」

 著者:山田風太郎
 初出:1953年10月~1959年4月、『講談倶楽部』『宝石』などに不定期掲載
 角川文庫「妖異金瓶梅」(角川書店 1981年6月初版)より

中国古典文学の世界で繰り広げられる、奇想横溢、余韻嫋々たるミステリ連作集。稀代の好色漢、西門慶をめぐる女たちの、愛欲と嫉妬渦巻くなか、連綿と繰り返される殺人劇。「意外な犯人」の真逆をいく空前絶後の犯人像! 読み通して初めてわかる作者のたくらみ!!


妖異金瓶梅.jpg


 昭和28年の第1作「赤い靴」以来、掲載雑誌を転々としながらポツポツ発表され、昭和34年「死せる潘金蓮」で完結を見た作品。それにしては全体の伏線の妙やテーマの一貫性は、あらかじめ綿密な設計図があったかのよう。
 山田風太郎の忍法帖も、やはり中国の古典文学「水滸伝」に触発されて書かれたそうです(「水滸伝」の登場人物それぞれが、さまざまな得物や武術を駆使して武勇伝を繰り広げるのを、忍者の世界に応用)。
 かたや「妖異金瓶梅」は、「金瓶梅」から舞台と設定を借りてミステリに仕上げたわけですが、その換骨奪胎ぶりはこちらのほうが格段に際立っていると思います。
 佐伯俊男の表紙画ゆえに角川文庫(旧版)を掲げましたが、これと廣済堂文庫版には、連作中の一篇「銭鬼」と番外篇「人魚燈籠」が未収録。扶桑社文庫か、角川文庫(新版)の、完全版での入手をお勧めします。(現在は角川の新版のみ流布)

《おことわり》
 実はひと月あまり前、姉妹ブログ『120字の小宇宙』を開設し、昭和期に夢中になった小説や映画やテレビ番組などの紹介記事を作成していたのですが、ふたつのブログの並行運営は、私の手に余ることが判明しましたので、この『心地よく秘密めいた書棚』のほうに統合することにしました。順次記事をこちらに移行します。
 したがって、今後更新する記事の中には、すでに一度投稿されたものも含まれますがご了承ください。(なお、それらの記事の多くは補筆修正する予定です)
posted by Pendako at 23:06| Comment(0) | 120字の読み物世界 | 更新情報をチェックする
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